コラム > 2018年11月

「共同マーケティングはヌルめの長湯じゃない方がいい」

(2018年11月30日)

2018年も残すところわずかとなったが、今年もいくつかのテーマで共同マーケティング形式の支援業務に携わった。

当社は、商社とメディア会社の合弁という独特の立ち位置上、小規模ながらも産業調査から営業支援/マッチング、コンテンツ制作、情報発信まで色々と小回りが利くのが特長の一つ。そのため、事業開発・推進支援の手段として、顧客ニーズに応じて共同マーケティング活動を提案し、事務局の立場でこれら機能を活用しながらプロジェクト運営をさせていただくことも多い。

共同マーケティング活動は、どんな時に有効か? 例えば、(1)技術革新や素材開発等で新しい市場創出が期待されている中で、初動段階で市場の成長性や自社の事業性を探りたい時、(2)既存市場、事業における成長性に限界が見える中で、新たな技術や製品、サービス、顧客ネットワークを融合することで、市場の幅を広げたり、深化させたい時、(3)自社を中心としたアライアンスでパートナー企業と共に新規顧客へソリューション提案を行い、業界のディファクト化を図りたい時、(4)潜在的な社会課題や市場課題に対して問題提起を行い、自社技術や製品に対するニーズの掘り起こしを行いたい時――こんな場面などでは有効だろう。

共同マーケティングを2つの段階に分けるのであれば、非競争段階と競争段階に分けられる。協議会、コンソーシアム、フォーラム、研究会、勉強会と名の付くことの多い会合は前者であり、参画者も多彩。初動段階では、各社リソースも限られるため、参画者間とのアイデア共有、コスト面、ネットワーク構築など、効率的な情報収集という意味では一義的なメリットはある。競争段階においては当然組む相手の見極めが前提となる。特に、産業構造の変革や従来の事業領域の融合が進む中、異業種と組むケースは増えており、その選択は複雑で難しくなっている。

共同マーケティングを活用して事業拡大を図るためには、非競争段階で散発的にあるいは長らくお付き合いしているだけでは何も始まらない。非競争段階から競争段階へ仕掛けるタイミングやスピード感、実行段階での継続性、それを動かす担当者、経営者の強い意志が重要であると実感している。

昨今の産学連携でもこうした動きが出ている。今年度新たに「オープンイノベーション機構」(OI機構)というものが整備され、自動運転、半導体、情報通信、有機材料、創薬、医療機器の分野で8つの大学の機構が採択された。ここでは企業の事業戦略に深く関わる競争領域を中心とした大型共同研究が行なわれるという。従来の研究開発プロジェクトよりも共同マーケティングの要素が濃い点で注目したい。

池田英一郎(株式会社テクノアソシエーツ マネージャー)

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