コラム > 2018年4月

「ドローン用空中高速道路の建設」

(2018年4月27日)

ドローンの話題は、現在国内ではある程度落ち着いており、今後の展開に関して様子見をされている方々も多いと思う。一方、欧米を中心とした海外のドローン業界はどうなっているのか。

UTM (UAV Traffic Management)とは、無人航空機管制の略称である。あまり聞きなれない言葉かもしれない。有人の航空機業界では、ATM (Air Traffic Management: 航空運行管理) が存在し、空の交通整理を行っている。つまり、UTMとはドローン分野のATM版航空運航管理に該当する。現在は、ドローンを見える範囲で操作する目視内の運用が殆どだが、今後ドローンを使ったサービスを導入するにあたっては、見えないところでドローンを飛ばす、目視外での運用が必要となり、BVLOS(Beyond Visual Line of Sight)での飛行が必須となる。UTMは、この目視外飛行が増加してくる際の、ドローンの飛行を安全かつ効率的に実現するための仕組み(ドローン版空中高速道路の管理)であるとも言える。

欧米では、これらUTMを支援するためのソフトウエアを中心としたプラットフォーマーが出現しており、NASAやFAA(アメリカ連邦航空局)を巻き込んで、業界の覇権争いが始まりつつある。ドローンは航空機と違い、無数のドローン運用が行われることが想定されるため、UTMによる交通整理は人手ではなくソフトウエアで自動的に行われる。ここで欧米のソフトウエア企業がプラットフォームの運用を目指して開発を行い、同時に欧米のIT企業のGoogle、Amazon、Intelなどもドローンを活用した配送サービスを始めとする関連サービス運用のプラットフォームを仕掛けている。

ドローン版航空運用管理であるUTMには、大きく2つの機能が要求される。1つは、国や地方などが無人機の運行状況やフライトプランを一元管理し、規制エリアへの侵入や機体同士の衝突がないよう管理する役割を担う。この機能は、航空規制当局や有人機の運転者、警察、防衛関係の関連当局との間でスムーズな情報連携が求められる。一般に管制的な機能(Traffic Management )と呼ばれている。もう1つは、飛行ルート設定や自動遠隔制御を行う運航管理機能と衝突回避や禁止空域への侵入監視を行う交通管理機能である。俗にミッションプランナー的な機能(FOS:Flight Operation System)と呼ばれている。

これらの機能を持つ主要プロバイダーは、Precision Hawk(米国)、UgCS(ラトビア)、UniFly社(ベルギー)、AirMap(米国)などが存在し、国内でも携帯通信会社が、ドローンの飛行制御やデータ取得・管理に向けたサービスを提供しようと、欧米各社との提携や独自開発などの試みを行っている。

空の物流サービスが始まってからでは遅いため、新たなドローンサービスへの新規参入を見込む企業にとっては、これらの動きを注意深く観察する必要があるのだろう。


木村勲(株式会社テクノアソシエーツ プリンシパル)

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