コラム > 2017年11月

「空き家対策に一考」

(2017年11月30日)

貴方のお住まいの周辺で近頃、空き家が増えたとお感じにはならないだろうか?

少し古い総計ではあるが、全国の空き家数は2013年に約820万戸あり、住宅総数に占める割合は13%を超えた(総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」)。空き家の持家:借家比率は47.6%:52.4%であるが、このところ持家系の増加が顕著だ。数値からみても、皆さんの感覚と合致するのではなかろうか。

中古住宅の売買が多い欧米諸国とは対照的に、日本人は新築分譲が大好きだ。最近では交通の便の良い駅前マンションが人気である。一戸建ても根強い需要があるが、高度経済成長期のように大規模分譲開発できる残りスペースは少なく、好立地の新築分譲はなかなか出てこない。新築にばかり目が向いており空き家が放置される。異常事態だ。国も空き家対策特別措置法を2年前に施行したがまだ大きな成果になっていない。

世論を反映してか、最近では「二世代住宅」のほか実家の近くに子世帯が「近居」するケースが増えてきた。待機児童問題が顕在化し“保活”に奔走されられるのは御免・・・との一面が後押ししているのか分からないが、筆者の住むエリア(近郊のベッドタウン)でも「近居」を希望する子育てファミリーの話を聞く。

実家のまわりには程度の良い空き家(古家)が結構あるので、こうした土地と建物をリフォーム活用すればと思うのだが、“新築分譲”が大好きなこれまでの日本人の概念には合わなかった。

しかし、そうしたなか、最近の特に若い世代の嗜好に変化がみられてきた。住宅を探す時に新築と中古を二股かけて比較検討する。かつてのような新築ありきが優越的な選択ではなくなってきたようだ。

「新築vs中古リフォーム」比較検討のキーワード。家をまるごと改築する大規模リフォームは新築に近い仕上がりになるが、業界の現場関係者からはたいてい異口同音に3つの留意点が挙がる。(1)1981年以降、(2)見えない裏側の確認、(3)差額

(1)については、建築基準法の新耐震基準が施行された年を指す。それ以前の建物は耐震基準が緩いため、ホームインスペクション(住宅診断)をすると基礎や構造材の取り換え箇所が多く費用が膨らむことが多い。リフォームを薦めないとのこと。

(2)については、ホームインスペクションの検査員が屋根裏や床下を覗いてチェックするが、裏側まで入り込むところまでは要件に入っていない。一戸建ての場合、特に建物の土台まわりの腐食やシロアリ被害の進行度合いでリフォーム代が嵩むかどうかが大きく左右される。

(3)については、大規模リフォームもそれなりの金額になるため、新築との見積り差額が高級車一台くらいの時に悩まれるケースが多いという。リフォームもそれなりに高いと。

中古一戸建ての大規模リフォームを検討する人のそもそもの意図は、“その場所に長く安心して住みたい”であり、住まいの土台まわりの安心を担保できるかどうかだ。あとは値段に折り合いがつけば決断しやすくなる。そうであるならばと最近は大きく費用を抑えられる「一階だけ大規模リフォーム」を良き選択肢のひとつとしてアドバイスするリフォーム業者もおり、喜んでそうした提案を受け入れる人が実際に増えてきているという。

“若い感性”をもった人には、空き家(古家)を購入して、一階だけ大規模リフォームして先ず入居する方法もあると知ってもらいたい。小さな積み重ねかもしれないが空き家対策の一助にもなり得えよう。


若月真(株式会社テクノアソシエーツ マネージャー)

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