コラム > 2017年5月

「DeNA『WELQ』問題からの警鐘〜求められるコミュニケーターの育成」

(2017年5月31日)

DeNAが運営していたキュレーションサイト「WELQ」を覚えているだろうか。

科学的根拠(エビデンス)に欠けたり、無断転用が疑われたりする医療、健康に関する記事が多数掲載されていたとして世間を騒がせ、サイトは閉鎖された。

インターネットやスマホの普及に伴い、誰もが情報発信の主体者になれる時代になった今、
「WELQ」問題は、「どの企業にも降りかかる可能性がある」と警鐘を鳴らしていると言えるだろう。

企業に求められるのは、医療、健康に関する情報の正当性、妥当性を正確に読み解き、判断し、発信することができるコミュニケーターの育成だ。コミュニケーターとは、商品・サービスの機能性、科学的根拠を伝えるだけでなく、分かりやすいメッセージ、ストーリーとともに、消費者の生活、人生を豊かにするトレンド、ライフスタイルなどを提案できる人材と言える。そのためには、的確な伝達力と幅広いアンテナが欠かせない。

メーカー、小売りといった事業者が、自社のホームページ、SNSなどを通じて商品情報だけでなく、研究成果、キャンペーンなどの情報を発信し、マーケティングに活用することは、常識となっている。だが、情報発信で一歩間違えると、“炎上”を引き起こすリスクをはらんでいる。健康・美容をキーワードに事業を展開する食品・飲料メーカー、化粧品メーカー、機能性素材メーカー、これらの商品を販売する小売事業者などは、思わぬ形で足をすくわれかねない。

高齢社会の進展や健康志向の高まりに伴い、医療、健康、美容に対する消費者のニーズは今後も衰えることはないだろう。コンビニの棚には、健康・美容をキーワードにした多様な商品が並んでいる。こうした環境下で、事業者は信頼性の高い情報を適切に発信し、商品、サービスの競争力を強化していかなければならない。

情報のキュレーションというバーチャルな世界と人材育成というリアルな世界。両端に位置しているこの2つの組み合わせを最適化することが、企業の成長力に直結していくだろう。

笹木雄剛(株式会社テクノアソシエーツ マネージャー)

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