コラム > 2017年2月

「レベル4が先か?火星移住が先か?来るべく日の地球の景色は」

(2017年2月28日)

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、自動車メーカーも政府も、自動車の自動走行実現に向けて躍起だ。

近年、既存の自動車メーカーはもとより、新規参入を目論む企業も含めて自動走行・安全運転支援システムにまつわる技術間競争が激しさを増している。

「官民・ITS構想・ロードマップ2016」で定義されているレベル2(※1)に該当する追従・追尾システムや自動レーン変更などの一部技術は既に市販化、もしくは近々市販車に搭載されることが報じられている。

政府もさらなる技術開発を後押しする動きを見せ始めている。

今月21日には、自動運転等の最新技術を実証実験する場合に現行の関連規制を一時的に停止する「サンドボックス制度」を創設するという規制改革方針を打ち出した。

特区となる東京都では、早速、小池百合子知事が、羽田空港周辺で自動運転技術の実証実験に着手すると表明し、2025年に市場投入を目指す完全自動運転車の実用化を後押しする。

2025年というのは、完全自動走行となるレベル4(※2)の政府の“市場化等期待時期の目途”と同じだ。自動車メーカー等の開発状況にもよるところではあるが、大方の目指しているターニングポイントであるといえよう。

しかしながら、自動車にはモデルチェンジ・サイクルというものもある。車の買い替え期間は平均で7〜8年程度とされる。仮にレベル4の一般乗用車が2025年に初登場したとして、都会や田舎、全ての街中を走っているほとんどの車がこうしたレベル4に取って代わるのは2030年代半ば頃ということになる。

火星への移住が本当に実現する日

他方で、火星への有人ミッションがにわかに盛り上がりをみせているのをご存知だろうか?

スペースシャトルは2011年に退役し、今ある宇宙ミッションといえば国際宇宙ステーション(ISS)が認知されているところかもしれない。

しかし、このISSも老朽化がかなり進んでおり、本来ならもっと早く引退するところであったが、延期に次ぐ延期で今日まで来てしまった。それでもやっぱり2024年には引退することがほぼ決まっている。

有人ミッションの今後はというと、ISSが位置する地球低軌道(地上から約400kmくらいまで)辺りへ行って戻ってくる民間企業主導によるプチ宇宙旅行が話題となっている。鼻息荒いベンチャー企業に続き一部大手企業も参画してくるなど活況だ。

もっと遠方はとなると、実はNASAが火星への有人ミッションを本気で考えているという。

もともとNASAにはNextSTEPという民間企業との協業を活用するなどして“2030年代”に有人火星探査を実現するという大風呂敷が存在する。(予算獲得が困難なため民間にお願いするといった方が実態に近いかも知れない)。

先のトランプ大統領の就任演説においても、短いフレーズではあったものの宇宙開発について触れたため、NASAはそれを真に受けて有人飛行の前倒しを検討し始めたと米国メディア各社が報じている。

新進気鋭の宇宙ベンチャー、スペースXの共同設立者CEOのイーロン・マスク氏が昨秋、100人乗りの宇宙船で火星さらにはその先へも飛行するというとんでもない(?)構想を発表して以来、宇宙産業関係者の間では前向きな意味で大きな波紋を呼んでいる。

その他にも“2032年”に火星へ片道切符で永住するという「マーズワン」計画(※3)は、この世界では有名だ。

2030年代の地球の景色

こうしてみると、やはり“2030年代”が大きなターニングポイントを迎えそうだ。

今の幼稚園児や小学生の世代が大人となり社会人として働き始めている時代だ。

今、子供達の間ではキッザニア東京が大人気のようだが、未来の子供達は宇宙空間でそうしたことを体験しているかもしれない。

完全自動運転も人類の火星到達も実現した暁には、もちろん(?)リアルタイム通訳技術やそうしたアプリはかなりの高精度となっているに違いない。

英会話教室は年々早い年齢から習わせる傾向にあるようだが、2030年代にはお習い事のランキングも大いに変容していることだろう。

若月真(株式会社テクノアソシエーツ マネージャー)

※1
レベル2:システムの複合化
加速・操舵・制動のうち複数の操作を一度にシステムが行う状態を指す。ドライバー責任。

※2
レベル4:完全自動走行
加速・操舵・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態を指す。システム責任

※3
2012年にオランダの非営利民間団体が、火星へ辿り着いたら地球へ帰還しない計画を発表。これまでに世界中から100人の搭乗希望者を集めたとされている。当初の計画では2025年に火星へ人を送り込む予定であったが、数か月前に7年延長して2032年へと修正された。

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