コラム > 2016年11月

「望む!低年式車用の安価な『後付け』安全運転装置を直ちに」

(2016年11月30日)

最近の高齢者による自動車事故の多さは、目を覆うばかりだ。

超高齢化社会である日本にとっては避けられない現象かもしれないし、高齢者ばかりが事故を起こしているわけでもない。

しかし事故による死傷者が運転手本人だけでなく、第三者にまで及んでしまうだけに、事は重大だ。

ここでは、「高齢者による運転の是非」には全く踏み込まない。気になるのは、事故を起こしている車の「車種」や年式だ。

これまでの高齢者による運転事故を見ていると、事故を起こした車は「軽乗用車」「軽トラック(軽トラ)」「低年式車(要は古い車)」が非常に多いことに気付く。

例えば最近の主な高齢者による交通事故は以下の通り。(カッコ内は場所と運転手の年齢)

・2015年7月:高速道路を軽乗用車で逆走し2人死傷(静岡、74歳)
・同年9月:高速道路を小型乗用車が逆走し本人死亡(長野、82歳)
・同年10月:軽乗用車が歩道に侵入して暴走。2人死亡4人重軽傷(宮崎、73歳)
・同年10月:旧型ワゴン車が和菓子店に突っ込み12人が重軽傷(愛知、76歳)
・2016年7月:乗用車(車種不明)が高速道路を逆走し女性死亡(岡山、69歳)
・同年10月:高速道路を軽乗用車が逆走し3人死亡(秋田、70〜80歳)
・同年10月:軽トラが小学生の列に突っ込み1人死亡8人重軽傷(神奈川、87歳)
・同年11月:旧型乗用車が病院玄関に突っ込み1人死亡2人けが(栃木、84歳)
・同年11月:旧型乗用車がコンビニに突っ込み2人けが(東京、80歳位)
・同年11月:ハイブリット車が病院敷地を暴走し2人死亡(東京、83歳)
・同年11月:高速道路を軽トラが逆走し運転手死亡(福井、79歳)

これは2016年11月13日の産経ニュースに掲載された表に直近の事故をいくつか追加したもので、決して該当車の記事だけを抽出しているわけではない。

2016年10月以降の記事が増えているのは、「高齢者による交通事故が激増」というテーマがクローズアップされるようになった結果である。

それにしても、書いていてあまりに痛ましい。

気付かれたように、事故を起こした車は軽乗用車や軽トラ、低年式車が圧倒的に多く映る。

都市郊外なら一家に1台の車が普通だろうが、地方に行けば「一人1台(軽が多い)」が大半。

筆者の実家近辺などまさにそう。車がないと生活は困難を極め、上述したような車種の車はまさに救世主。今後もなくてはならない存在だ。

ただ残念なことに、この数年内に発売された新車を除けば、事故回避をアシストしてくれるような機能は付いていない。

現時点の緊急性を鑑みれば、このような車、高年齢者に多く使われるこのような車にこそ、事故回避支援システムが必要ではないかと思う。

調べてみれば、既存の自動車に装着できる「後付け衝突防止補助システム」は存在する。

イスラエルに本社を置く、Mobileye(モービルアイ)社が開発した「530」などは好例だ。
単眼カメラ型解析システムを用いており、本体価格は10万円台。国産乗用車に装着されているシステムと性能的には変わらないといわれる。

ところが、これらの製品は「旧車など、スピードメーターに機械式のケーブル駆動方式が採用されていて、電気的な車速パルスが取得できない場合(キャブレーター車、機械式ポンプのディーゼル車など)には装着できない」(日本代理店のHPより)。

つまり、高齢者が事故を起こしているようなタイプの車への装着は、難しい場合が多いだろう。

2014年における日本の交通事故件数は3万7184件。うち、65歳以上の高齢者が20.4%を占め、その割合は右肩上がり。10年前の1.9倍にも達する(警視庁資料より)。現在はさらに上がっているはずだ。

筆者は自動運転技術の調査を通じ、今後の同技術の進歩に大いに期待するようになった。交通過疎地で不便を感じている方々には、自動運転技術は間違いなく朗報だろう。

その一方で、毎年4000人以上の方々(うち65歳以上の高齢者は55%)が交通事故で死亡している現実との乖離に愕然としているのも事実である。

「低年式車用の安価な後付け安全運転装置」。だれか直ちに開発・投入してもらえないだろうか。

レガシーにはならない一過性のものかもしれない。だが、悲惨な事故がほんの少しでも減るのなら、価値は十分ある。

宮嵜清志(株式会社テクノアソシエーツ 取締役副社長)

このページの先頭へ